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『有馬記念 マツリダゴッホと蛯名正義』

アスリートバンク サイト管理者 (2008年12月24日 18:21)

自信のつぶやき

「暮れの大一番が待っているから」

先日のジャパンカップ。レース終了後、検量室から引き揚げる蛯名正義が、最後にぽつりとつぶやいた。

史上初となる3世代ダービー馬に注目が集まる中、蛯名は5番人気に支持されたマツリダゴッホと挑んだが、結果はコンマ2秒差の4着。伏兵馬スクリーンヒーローに足元をすくわれる形となった歴代ダービー馬の鞍上たちは、悔しさを隠せなかったが、蛯名は勝者を称え、冷静に結果を受け止めた。

「前半のスローペースで引っ掛かった分の4着。道中、うまくハミが抜けてくれれば最後は弾けたんだけどね。負けたのは確かに悔しいよ。でも、敗因は分かっているわけだし、苦手とされていた左回りコースでこのパフォーマンスを見せられたのは収穫。ここにきてかなりパワーアップしている感じで、明らかに去年以上だよ」

蛯名正義昨年、9番人気で有馬記念を制したマツリダゴッホと蛯名正義。来年23年目を迎えるベテランは同期の武豊と共に日本競馬界の牽引者。

"空気の読めない"男

マツリダゴッホの全9勝はいずれも右回りで、そのうち7勝は中山コースだ。昨年の有馬記念は9番人気と評価は低かったものの、歴戦の強豪らに圧巻の強さを見せつけた。

「直線で先頭に立った時は確かに手ごたえは良かったけど、他馬の手ごたえもそれ以上だと思っていたからね。いくら中山巧者だからと言っても、正直、あの時はびっくり。『あれあれ~』て感じ(笑)」

残り100Mを過ぎてからは他馬に影すら踏ませなかった。そのままゴール板を駆け抜け、蛯名は人差し指を天に突き上げた。この瞬間、大歓声で沸くスタンドは歓喜ではなく、どよめきに変わった。

「蛯名! このKY(空気読めない)野郎!」とヤジまで飛ぶ始末だ。中波乱の主役を演じた騎手のパフォーマンスが、馬券を紙切れにされたファンの癇を刺激したようだ。

レース後の検量室で蛯名は報道陣に対し、「AKY。"あえて空気を読まない"んだよ」とサラッと言ってのけ、勝利者インタビューでも、「C(超)KYですいません」とジョークでかわした。さらに、
「この世界ではヤジはつきもの。そんなのいちいち気にしていたら、騎手なんてやってらんないよ」。通算1673勝(12月14日終了時)。来年でデビュー23年目を迎えるベテランに勝負に対する厳しい姿勢を教えられた。

WRITER

鈴木亨
1972年3月14日、北海道札幌市生まれ。幼少時は札幌競馬場近くの八軒で育ち、競馬に触れる。高校時代はレスリング部に所属。大学入学を機に上京。90年の日本ダービーで、アイネスフウジンの“ナカノコール”に衝撃を受け、本格的に競馬にのめり込む。大学卒業後は海外を放浪。98年、サンケイスポーツにアルバイトとして入社。サンスポ編集部を経て競馬エイトへ。02年、トラックマンデビューしていまに至る。現場では想定班を担当。

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