『進化を続ける天才 コービー・ブライアント』
(2008年12月10日 17:38)
レイカーズファンで埋めつくされたステイプルズセンター。コートサイドにはいつもジャック・ニコルソンらハリウッド俳優が陣取り、熱い声援を送っている。もちろん、一番人気はコービーだ。
NBA最高プレイヤー
ロスアンジェルス・レイカーズのコービー・ブライアントが「NBA最高の選手」と呼ばれるようになってすでに久しい。
コート上では常に天才的な力を発揮し、MVP、得点王、オールスター10度出場など個人として考えうるすべての賞も獲得。2005~06年シーズンには1試合81得点という驚異的な数字を叩きだしたこともあった。
「毎日、朝起きて、その日も前に進み続ける。自分を信じて、何が起ころうと前進する。勝っても負けても、人々はその結果をみて僕を判断しようとする。2位になったのが誰かなんて誰も覚えていてはくれない。それが僕のモットーであり、レイカーズのモットーでもある。前に進み続け、夢を見続ける。誰かが目を覚まさせようとしたら、手を伸ばして払いのけてやる」
(「SLAM」誌・元編集長ラス・ベンソン氏のコラムより)
こんな真摯なコメントからも察せられるように、コービーのバスケットボールに対する真っすぐな姿勢はすでに多くの人に知られている。
2003年には19歳の少女をレイプした罪で逮捕されたこともあった(2年後に示談が成立)。そんな酷い事件を起こした後でも、あれだけ純粋にゴールに向かってくる選手を心底から嫌うのはファンにとっても難しかっただろう。
必死のプレーを展開するにつれて、周囲からの尊敬もいつしか取り戻し、再びどこに行っても大歓声を送られるようになった。そしてマイケル・ジョーダン以来では最高のスコアラーと呼ばれるようにまでなったのだ。
スコアラーからチームプレイヤーへ
そして迎えた今シーズン、コービーは選手として、そして人間としてもさらなる成長を印象づけている。
今季最初の17戦を終えた時点でレイカーズは15勝2敗と圧倒的な強さを誇示。ここまでは1996年にジョーダン率いるシカゴ・ブルズが成し遂げたシーズン72勝を上回るペースだが、その絶対の中心となっているのがコービーであることは言うまでもない。
コービーの平均得点(12月4日現在で25、1得点)自体は、得点王を獲得した2年前、MVPに選ばれた昨季を大きく下回っている。それでも自身の数字を度外視して、チームの勝利に確実に貢献してきた点に彼の進化を感じ取ることができるのだ。
「今の彼は自分が素晴らしいチームに属していることを理解しているんだ。自身が全プレーで得点を狙わなくとも、周囲に信頼できる仲間がいることに気付いたのだろう」
トロント・ラプターズの前ヘッドコーチであるサム・ミッチェル氏はそう語る。
実際に今季のレイカーズはポウ・ガソル、アンドリュー・バイナム、ラマー・オドムら若手タレント揃い。彼らが縦横無尽に走り回ってくれるおかげで、コービーの負担が軽くなったことは確かだ。そしてコービーも若手たちに嬉しそうにパスを廻し、「兄貴役」を楽しげに務めているのである。
WRITER
- 杉浦大介
- 1975年生、東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシング・マガジン』『スポーツナビ』『日本経済新聞』など、多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。
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