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『スポーツ余話"オグシオ"、最後の56分』

アスリートバンク サイト管理者 (2008年11月26日 17:23)

オグシオオグシオ、全日本5連覇。二人で見せる勝利の笑顔はこれで見納め。

オグシオ最後の闘い

 アスリートの持つ力とは何だろうかと思うことがある。これまでも、いろんなスポーツシーンを目の当りにし、劇的な瞬間を体験してきた。全身鳥肌が立ったこともある。それでも、また見たくなる。

「やっぱり、行っておこう」。そう思わせる何かが、彼女たちにはあったのかもしれない。先日、秋雨の中、都内にある代々木第2体育館に足を運んだ。

バドミントンの全日本総合選手権最終日。肌寒い外気とは違って、室内の会場は蒸し返すような熱気があった。タイトルがかかった大会で、最後のペアリングとなる小椋久美子、潮田玲子(三洋電機)の決勝を見たくなったのだ。近くの国立競技場発着で、こちらも最後の大会となった東京国際女子マラソンが行なわれていた。マラソン2度目の挑戦だった尾崎好美(第一生命)が、ちょうど33キロ付近の第一生命本社前を3位で通過し、逆転優勝へ加速を始めていた頃、オグシオ最後の戦いが始まった。

動vs静

 第1セットから白熱したラリーの応酬となった。相手は決勝で3年連続の顔合わせとなったスエマエこと末綱聡子・前田美順(NEC・SKY)ペア。シャトルが空気を切り裂いて相手コートに向かっていく音が、伝わってくる。2階席からでは、目で追うにも大変なほどのスピードだ。息をのむ観客。得点を奪うたびにスエマエは激しいガッツポーズをみせ、叫び声をあげる。

 一方、オグシオはポイントを重ねるたびに、互いの左手を重ね合う。スエマエが「動」なら、オグシオは「静」。実力に加えて絶大なる人気を誇り、ここ数年のバドミントン界を引っ張ってきたオグシオという巨大な壁に、北京五輪で4位入賞と上回ったスエマエが激しく挑みかかるような対決の構図に映った。第1セットは4度にわたるジュースの末に、オグシオが25-23で先取。満員の観客、メディア、関係者とすべての視線は、この4人に注がれていた。

アイドルを超えたアスリート

 この日、足を運んだファンの多くはアイドルペアの最後の試合を「ナマで見てみよう」というのが理由だったと思う。私もその1人である。これまでもテレビ中継で見てはいたが、公式戦を会場で見るのは初めてだった。

試合が始まってほどなく、ゲームそのものにのめり込んでいった。全日本のタイトルを争う両コンビ。飛び交うシャトルを追っているうちに、バドミントンという競技の持つスピード感やペアの前後左右の巧みな動き、サーブレシーブでの駆け引きなど戦術面での魅力も感じ始めていた。

前田の迫力満点のスマッシュなど、スエマエが3度目の正直で頂点に立つのかな...と思っていた。第2セット、スエマエが連続3ポイントを奪って19-15となった時、3セット目にもつれ込むと思った。だが、10年近くコンビを組んできた2人は強かった。一気に連続6ポイントを奪って逆転優勝を決める。潮田がここ一番でみせた巧みなショット、スマッシュを浴び続けてもはね返す小椋のレシーブ。そして最後には勝つ。オグシオの勝負強さが、強烈な印象として残った56分間だった。

(終)

WRITER

田誠
大阪府出身。岡山大学出身、45歳。日刊スポーツでプロ野球、大リーグ、五輪、サッカー日本代表などを担当。森西武、長嶋巨人、岡田マリノス、ジーコジャパン、イチローのデビューを取材。今年は五輪開催地の北京にも足を運んだ。

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