『アスリートの品格 仁志敏久(前編)』
(2008年11月26日 17:18)
ベイスターズの"CHANGE"はまずユニフォームから。11月23日のファン感謝デーで初披露となった新ユニフォーム。横浜港開港150周年を迎える09年に合わせ、17年ぶりにデザインを一新。
ベイスターズに必要な"CHANGE"
「新陳代謝するほど新しい芽が育っていない」
来シーズン開幕時には、プロ14年目を迎える今や超ベテランの域に達した仁志。現在のチーム情勢をこう言って危惧する。
決して、ベイスターズ流"CHANGE"が間違っているというのではなく、若手に奮起を促す仁志流の鼓舞であり、それと同時に、まだまだポジションを譲るつもりは毛頭ないという決意表明も含まれていると解釈する。
ベイスターズが今オフ断行中の"CHANGE"の柱は、新陳代謝のうち主に"陳"。つまり古い方の代謝に注目が集まる。
ご承知の通り、20年間横浜(入団時は大洋)一筋、2000本安打も達成した石井琢朗が退団、広島へ移籍。そして、同じくチーム一筋18年間在籍した鈴木尚が現役引退。さらに、正捕手の相川亮二(14年在籍)、エースの三浦大輔(17年在籍)がFA宣言。三浦は26日現在去就は未定だが、相川は退団が濃厚である。
新陳代謝は世の常であり、プロ野球界にとっても不可欠であるのは言うまでもない。
しかし、新陳代謝というのは、新しいものが古いものにとって代わること。よって、新しい芽が出て初めて成り立つ。今のベイスターズには、村田、内川のタイトルホルダーを始めとする中堅の充実さにくらべ、"新"の台頭に欠けると仁志は指摘する。
何よりもチームの勝利が最上の結果であり、ファンへの最高のプレゼントは優勝であると考える仁志が求める理想は高い。だからこそ、若手に求めるものも多く期待も大きい。
「煙たがられるかもしれない。でも言いたいことは言わせてもらう」
その分、己のハードルが上がるのは仁志にとっては百も承知。
この仁志の想いの源にあるのは、ジャイアンツ在籍11年間で得た経験。「良い想いをもう一度味わいたい」そしてベイスターズの選手にも味わって欲しいという気持ち。
良い想いとはもちろん優勝。そして、そのために仁志には伝えたいことがある。
「(巨人での)11年間で良い思い出もたくさんあったし、悪い時もあった...。悪かった時期の反省や悔しさを活かしていきたいし、それを若い選手に伝えられればいいと思っている」
家族で喜んだベイスターズ入り
06年11月ベイスターズ入団会見。「家族は泣くほどに喜んでくれた」晴ればれとした穏やかな表情が全てを物語っていた。
仁志がベイスターズに入団して2シーズンが過ぎた。06年オフに自らトレード志願してのジャイアンツ退団。
ベイスターズカラーの青いネクタイを締めて臨んだ入団会見では、
「(巨人時代の背番号)8番にこだわりはない。8番は今日から昔話。一からやり直しという気持ちです。ポジションを空けて待ってくれているとは思わない。また泥にまみれて、奪い取る、勝ち取るという気持ちで努力したい」と語った。
その言葉通りに勝ち取った、唯一のこだわりであるセカンドのポジション。
WRITER
- 小川直樹
- 1972年生まれ。スポーツライター。プロ野球を中心に幅広くスポーツ界の取材を行う。米国4大スポーツにも精通。NFL専門誌「タッチダウンPRO」に寄稿。06年ブログ「仁志敏久取材日記」以来のネット界進出。
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