『女子バスケットボール、富士通レッドウェーブの挑戦(前編)』
(2008年11月26日 17:00)
開幕戦。対JOMOで、新人・鈴木あゆみが果敢なドリブルでゴールへ攻め込む。
リーグ前半戦
女子バスケット(WJBL)の富士通レッドウエーブが、11月15日、16日の試合で難敵シャンソン化粧品Vマジックから二連勝を奪った。富士通を率いる中川文一監督は語る。
「今シーズンは失点の多い試合ばかりなので、16日はディフェンスを強化ポイントにして臨みました」
富士通は昨季、初のリーグ優勝を遂げたばかりか、全日本総合選手権も3連覇し"女王"の冠を戴いた。ところが、今季は開幕のJOMOサンフラワーズ戦から躓き、ずっと調子に乗れず5勝7敗という不本意な成績でシャンソン戦を迎えている。
「16日の試合は前半を終えて41-23と、シャンソンの得点を低めに抑えられたのがよかった。前半からリードされる展開だと、イヤなムードになっていたと思う。後半も富士通らしいアグレッシブに動きを続けられたおかげで、最終的に76-56と、ようやく理想的な試合展開に持ち込むことができました」
会場は川崎市のとどろきアリーナ、ホームでの試合だけにサポーターたちの応援も強い味方となった。強ばりがちだった中川監督の頬も、ようやく緩みかけたというところだが、それでも破顔にまでは至っていない。
17日は沼津市に場所が移る。静岡市を本拠とするシャンソンのテリトリー、富士通にとってはアウェー同然の試合だった。しかも、昨日の試合と違って、前半で10点のビハインドを背負う苦しい内容だ。
「前半はシャンソンの速攻め、激しいディフェンスに圧倒されてしまった。だけど、後半、ウチがゾーンディフェンスに切り替えて、ようやく風向きが変わりましたね。おまけに、後半になってシュートも気持ちよいほど決まり逆転できました」
終わってみれば93-75で富士通がゲームを取った。だが、スコアほど点差を感じさせない"接戦"だったのは、それだけシャンソンの猛攻が凄まじかったということだ。中川監督は自らとりなすように続けた。
矢野良子のジャンプシュート!シーズン当初、不振だったエースが戻ってきた。
「ウチはようやく(矢野)良子が機能してくれました。彼女がああいう働きをすれば、チームも本来の動きになれる」
なるほど、中川監督の指摘するとおり、第二戦のキーパーソンは矢野だった。矢野は今季プロ宣言したものの、調整ミスから出遅れ実力を発揮しきれないままでいる。その意味で、富士通不振の要因でもあった。だが、この試合では久方ぶりに34得点(3ポイントは6本)を稼いだ。
11月20日現在、WJBL8チームの覇権争いは、共に12勝2敗ながら当該チーム間のゴールアベレージで、JOMOがトヨタ自動車アンテロープスを抑えて首位に立っている。3位以下は、同じく7勝5敗で富士通、デンソーアイリス、シャンソンの3チームが並んだ。JOMO、トヨタともディフェンディングチャンピオンの富士通に喰らわせた2タテが効いて、チームに勢いをもたらせた。
現在のところ2強の優位が目につくが、中川監督は「とはいえ、歯が立たないというほどの差は感じていません。シーズン後半での巻き返しは充分に可能」と強気を崩さない。最終的に、どの4チームがプレーオフに進出してくるのだろうか――。
2000年代になって、女子バスケット界の勢力版図は異変が生じた。
02年に日本航空JALラビッツがリーグ2位に食い込み、長らく続いたシャンソンとJOMOの2強時代に風穴をあけた。続く富士通の台頭、トヨタも伸長著しく、これら4チームがプレーオフの常連になっている。
WRITER
- 増田晶文
- 1960年大阪府生まれ。同志社大学卒後、10年の会社員生活を経て作家に。Numberスポーツノンフィクション新人賞、小学館ノンフィクション賞などを受賞。主な著作に『果てなき渇望』『速すぎたランナー』『吉本興業の正体』『父と子の中学受験合格物語』などがある。
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