『アメリカを席巻する女性ボクサー・中村千香』
(2008年11月26日 16:53)
18歳でボクシングを始めた。19歳でNYへ。「何かで世界一になるのは当然」、それが子供の頃からの哲学だった。
1人の日本人女性ボクサーが、アメリカの地でたくましく成長を続けている。
その名は中村千香。11月20日、カリフォルニア州サンノゼで行なわれた興行のセミファイナルに登場した中村は、好戦績(4勝1敗)の相手とハイレベルの攻防を続けた末に明白な6R判定勝利を飾った。
これでプロデビュー以来8連勝(3KO)。現在全米1番人気の名トレーナー・フレディ・ローチ氏とコンビを組み、元モデルの容姿でもファンを魅了する実力派美人ボクサーは、念願のタイトル戦に確実に近づいている。
「今回は風邪などで準備が不十分だったのだけど、それでも試合までにやろうとしていたことがすべてできた。これまでのキャリアの中で一番出来の良いファイトだったと思います」
試合後、明るい笑顔でそう語った中村の周囲には多くのファンが殺到。サインや記念写真を求める人々に取り囲まれ、カメラマンが「彼女の人気はもうスーパースター級だね」と苦笑いするシーンもあった。
華やかなラスベガス、ハリウッドを拠点に、女性ボクサー・中村千香の本格的なスター街道突入はもう間近だと言って良い。
奈良県出身の中村千香は、1977年11月23日生まれの31歳。その人生を通じて、いわゆる「普通の生活」とはかけ離れた道を歩んで来た。
大阪に移り住んだ後の15歳で早くもモデルの仕事をはじめ、翌年にはロンドンに渡り当地で2年間の生活を経験。その後、日本に一時帰国していた18歳のときに初めてボクシングに出逢った。
「当時は日本の若者のエネルギーの低さが残念だったけど、ボクシングジムの中の人たちだけは輝いて見えた」
狙い済ました左のクロスカウンターが相手の顔面にヒット! 6R判定でプロデビュー以来、8連勝! ベルトが見えた。
そう語る中村は、ボクシングに強烈に魅せられると、19歳のときに今度はニューヨークに移動。「何かで世界一になるのは当然」と子供の頃から考えていた彼女にとって、ボクシングの本場に渡るのもごく自然の選択だった。
以降、中村は主にブルックリン地区にあるグリーソンズジムでボクシングのトレーニングを続行。「レイジング・ブル」などの映画の舞台にもなり、常に多くの世界王者級が出入りする名門グリーソンズでも、その実力が本物であると気付かせるのに時間はかからなかった。
「最初の頃は、可愛い子がジムに来たってみんな冷やかし半分で見ていたらしいんです。しかしそれがスパーリングを始めたら、凄い本格的なボクシングだったから周囲は度肝を抜かれたんだとか。1回のスパーでジムのみんなから認められたって逸話が残ってますよ」
今年途中まで同じくグリーソンズジムでトレーニングに励んでいた中屋一生さん(「八王子中屋ジム」会長の長男)はそう証言する。
WRITER
- 杉浦大介
- 1975年生、東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシング・マガジン』『スポーツナビ』『日本経済新聞』など、多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。
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