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『田臥でも通用しないNBAの凄さ』

アスリートバンク サイト管理者 (2008年11月12日 16:10)

NBAの壁

田臥勇太田臥はいったんは日本への"都落ち"を受け入れたもののその視線の先にはNBAをしっかり捉えている。

2008年8月、日本初のNBAプレーヤー・田臥勇太がJBLのリンク栃木ブレックス入を表明。これで田臥の、いや日本人プレイヤーのNBA挑戦は一つの節目を迎えたと言って良い。

もちろん本人は後退や撤退ではないと主張しているし、実際に日本で好プレーを見せて行けば再びアメリカから声がかかることもあり得るだろう。ただ少なくとも現時点までで、日本最高のバスケットボール選手である田臥でさえNBAでは結局4試合、合計4分程度をプレーしたのみ。そして過去数年はマイナーリーグでも満足なプレー時間を得られず、力を示すチャンスすら与えられなかったことは紛れもない事実である。

 大学時からアメリカに留学した田臥は、2004年11月にはフェニックス・サンズの一員にもなった。その軌跡は確かに日本人バスケットボーラーに希望を与えてくれた。だが一方で、目指す頂きの余りの高さを改めて印象づけたとも言えるのかもしれない。

実際にアメリカという国には、日本のファンの常識を遥かに超えるほど、日本最高の選手ですらプレー機会すら得られないほど、規格外に優れたアスリートたちが山のように蠢いているのである。

「リトル・ネイト」

 筆者の住むニューヨークのNBAチーム・ニックスに、ネイト・ロビンソンという選手がいる。身長は公称175cmだが、実際は田臥よりも低い172cmであると言われる。大男ばかりのリーグの中ではこの小ささがゆえに逆にひと際目立ち、通称「リトル・ネイト」は地元でも屈指の人気者だ。

しかしこのロビンソンは、サイズの無さを上手さで埋め合わせるような典型的な小兵ガード選手ではない。垂直跳び43cmという爆発的なジャンプ力で、身長の低さを軽々と帳消しにしてしまう。そしてその類い稀なバネを活かし、ロビンソンはルーキー時代の2006年に、なんとオールスターゲームのスラムダンク・コンテストで優勝を飾ったのである。

ダンクは文字通りバスケットボールの華。その技と迫力を競うダンクコンテストはオールスター週末の中でもメインイベント格で、このコンテストを制したものは一躍スター候補として注目を集める。

ネイト・ロビンソンニックスのネイト・ロビンソン。背は田臥より低いが、垂直跳びは驚異の43センチ。ダンクシュートもお手の物だ。

かつてマイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントもダンクコンテストで優勝して自身の商品価値を高めたものだった。そしてそんな注目度の高い大会を、その年に参加した中ではダントツに背が低かったロビンソンが制したのだからインパクトは大きかった。あの小柄な田臥よりもさらに小さな体躯の選手が、爆発的な身体能力と迫力で全米の度肝を抜いたのである。

後に詳しく話を聴くと、ロビンソンが初めてダンクを決めたのは14歳の頃。それほどのジャンプ力をどんなトレーニングで身に付けたのかと突っ込むと、やんちゃで率直な「リトル・ネイト」は小さく笑ってこう答えた。

WRITER

杉浦大介
1975年生、東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシング・マガジン』『スポーツナビ』『日本経済新聞』など、多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。

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