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『スポーツビジネスの現状 第2回』

アスリートバンク サイト管理者 (2008年10月27日 14:13)

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スポーツビジネスの現状

日本ではこの数年で、急速にスポーツやアスリートがビジネスと接近している。

だが、スポーツとビジネスが密接な関係になったのは、何も今に始まったことではない。ただし、両者のかかわり方は大きく変化してきた。

日本のスポーツは、高校や大学まで学校教育に取り込まれていた。その端的な例が高校野球だ。卒業後、プロ組織のあるスポーツは、野球とサッカー、ゴルフ、テニス、ボクシングや相撲、プロレスなどごく一部しか存在していない。限られた種目以外は、実業団つまり企業がアスリートたちを引き受けていた。社員となってスポーツを続けるシステムは、引退後の生活を保障されるという意味でも、なかなか妙味のある方策だったと思う。

私が文筆の世界に入った1994年の春、日本国中はバブル経済崩壊の余波に覆われていた。実業団スポーツのカネは、企業の宣伝広告費か広報費、福利厚生費で賄っていた。つまり、アスリートは企業の広告活動の一端、あるいはリクリエーションの一環としてスポーツをしていたわけだ。

ところが、不況となり企業がコストカットに着手したとき、真っ先に槍玉となったのが、スポーツを下支えしてきた諸経費だった。広告出稿量が大幅に削られ、保養施設や独身寮が売りに出された――同じ論理がスポーツにも適用された。

皮肉にも、私がプロの書き手として最初に取り組んだテーマは、男子バスケットボールの熊谷組だった。彼らはチャンピオンチームでありながら、会社の経費節減の標的となって解散を言い渡される。その最後のシーズンを私は追った。余談ながら、熊谷組は同じく日本一だった野球部も解散させている。当時は、熊谷組の二つのチームばかりか、他の実業団の強豪チームが雪崩を打って解散、休部の憂き目にあった。熊谷組バスケット部を率いていた、倉石平監督は悔しさをにじませていったものだ。

「日本では、スポーツとアスリートの本当の価値が理解されていない。アスリートが持っている才能、努力、それにパフォーマンスは、歌手や作家、画家の持っているものと等価です。特異な才能に対して、どれだけの評価をするかを考え直してほしい」

彼は、「外国人のスポーツ関係者に、社会人や実業団なんてカテゴリーを説明しても、首を傾げるばかり。それって、プロなのかアマなのか、どっちなんだといわれる」とも語っていた。

その後の数年は、実業団スポーツ受難の時代といっていい。サッカーの成功に刺激され、バレーボールやバスケット、アメリカンフットボールをはじめ、およそほとんどのボールゲームがプロ化を夢見たが、資金面という厳然とした壁にぶつかって頓挫している。

WRITER

増田晶文
1960年大阪府生まれ。同志社大学卒後、10年の会社員生活を経て作家に。Numberスポーツノンフィクション新人賞、小学館ノンフィクション賞などを受賞。主な著作に『果てなき渇望』『速すぎたランナー』『吉本興業の正体』『父と子の中学受験合格物語』などがある。

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