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清宮サントリー連覇に黄信号 大物外国人ハーフが不調

アスリートバンク サイト管理者 (2008年10月14日 19:58)

ジョージ・グレーガン写真

昨年のラグビートップリーグの覇者、サントリーの連覇に黄色信号が点滅している。開幕戦の三洋電機戦に敗れたほか、第三戦のクボタ戦は後半20分にわずか4点差まで迫られ辛勝にとどまった。2軍戦も開幕以来2連敗で戦力の層の薄さも垣間見せている。さらに不安なのは、大物外国人助っ人でスクラムハーフを務めるジョージ・グレーガン(35)の不調だ。

豪州代表チームで歴代最高の137回の試合出場を持つ大物だが、開幕戦や2軍戦、10月13日のIBM戦を見る限り往年の精彩はない。とはいえ、いったんは引退を決めていたところを「日本ラグビーの再生」を殺し文句に口説いた経緯もあり、簡単には外せない。一流のセンスを移入しようとした狙いに縛られて、チームのバランスを崩しかねない不安が残る。

そもそもグレーガンとは何者か。豪州の代表チーム、ワラビーズで2001年から2006年半ばまでキャプテンを務め、豪州の黄金時代を築いた「実力スクラムハーフ」だ。日本での知名度は高くないかもしれないが、世界のラグビーファンの間では知らぬ者はいない。サッカー界でいうならペレやベッケンバウアーに匹敵するような選手である。

豪州代表に選ばれるようになった1994年の対ニュージーランド代表、オールブラックス戦。ニュージーランド代表のジェフ・ウィルソンのトライを阻止するタックルで、豪代表チームに勝利をもたらした。こうした勝利に貢献する華のあるプレーヤーだった。

その後も、バイス・キャプテンとして迎えた1999年のラグビーワールドカップでは豪州を二回目の世界一に導いた。キャプテンとなった後の2003年のワールドカップは惜しくも決勝でイングランドに敗れたが、アイルランド戦でドロップ・ゴールを決めて1点差ゲームをものにするなど活躍。豪州代表を世界のトップチームに据え置く原動力になった。「グレーガンがいれば何とかしてくれる」--そういう信頼感と期待を抱かせる大黒柱の選手だった。

身長1メートル73センチ、体重76キロ。プロラグビー選手としては体格的に恵まれているとはいえないが、敏捷性に優れたプレーには定評があった。彼の華麗なプレーを生み出しているのは、その「出生」に秘密がある。オーストラリア人を父に、ジンバブエ人を母に、1973年にアフリカのザンビアの首都ルサカで生まれた。1歳の時にオーストラリアの首都キャンベラに帰国している。彼の記憶にアフリカでの生活はまったく残っていないが、アフリカンの血が柔軟なプレーを生んだとは言えるだろう。

そんな彼だが、2006年に入るとプレーに精彩を欠くようになり、同年途中から、現在豪州代表チーム、ワラビーズでスクラムハーフを務めるマット・ギタウにレギュラーを奪われ、控えに回ることが多くなった。

結局、グレーガンは新天地を欧州に求め、昨年度は欧州のクラブチームでプレーしている。年棒は40万ユーロ(約6000万円)と報じられていた。今回もサントリーは相応の年棒を支払っているもようで、日本のラグビー界で最高年棒と見られている。

まさに往年の名選手と言えるグレーガンの加入は、これまでのところは効果的には働いていない。もちろん、「さすが」と思わせるプレーも垣間見せた。たとえば、開幕戦では相手のスタンドオフ、トニー・ブラウンの放った大きなキックに対して機敏に自陣に戻って相手チームのウイングがトライに持ち込むのを防いだりしている。

だが、スクラムハーフとして肝心のブレークダウン(密集)からの球捌きはリズミカルとは言えず、サントリーのお家芸とも言える展開ラグビーに弾みをつけることができなかった。ほとんど自陣に釘付けにされていたのは、すばやいオープン攻撃ができず、相手に万全のディフェンスラインを作る余裕を与えていたからだ。結果として自陣内で反則を繰り返してはペナルティゴールを決められ、点差を広げられる展開を余儀なくされた。

ジョージ・グレーガン写真

後半20分過ぎに交代したスクラムハーフ成田、スタンドオフ曽我部の2年目の若手コンビはリズミカルな球捌きでたちまちサントリーバックス陣を相手陣内に連れて行った。この時のサントリーファンのどよめきの大きさは、グレーガンへの不満を示している。若手コンビの投入の遅れ、もっと言えばグレーガンの先発起用が、サントリーラグビーのスタイルを狂わせたと言っていいだろう。

グレーガンは加入前の約束通り、9月いっぱいは自著のキャンペーンのためオーストラリアに帰国した。その間の九州電力戦、クボタ戦はスクラムハーフに昨年までの田中澄憲が復帰し、バックスが躍動するサントリーラグビーが復活した。

さすがに勢いを持続するため、第四節のIBM戦ではグレーガンを先発から外したが、リザーブでベンチ入り、後半はフルバックのオドゥーザを下がらせて冒頭から起用する配慮を見せた。セーフティリードといえる21点差と余裕があったからだ。

グレーガンは球捌きこそ早い動きを見せたが、終わってみると後半だけでみれば19対21でIBMが勝っている。前半にすばらしい突破力でしばしば見せ場を作ったオドゥーザに代わる活躍をしたかと言えば疑問だ。リーグで現在14位と振るわないIBMに19点差しかつけられなかったという点はチーム力としてはきわめて深刻だ。

だが、清宮サントリー監督は簡単にはグレーガンを外せないだろう。グレーガン効果で人気がなかなか盛り上がらないトップリーグに観客動員の増加を仕掛けようとの狙いも公言してきているからだ。日本ラグビー再生を担っているとの意識が強い清宮監督はその思惑にとらわれてチーム事情だけを考えたグレーガン外しには動きにくい。

サントリーの次の対戦は昨年までの成績では格下とは言え、つねに上位に食い込んでいるヤマハ発動機。19日に大阪の花園で対戦する。いまのチーム力では不覚をとりかねない相手だ。万が一敗れたり、わずかの差での辛勝となるようなら、日本人プレイヤーの自信が大きく揺らぎ、連覇に赤信号が点滅しかねないと言えるのだろう。

(終)

今年からラグビートップリーグは試合出場の外国人選手の枠を昨年の2人から3人に増やした。外国人選手の存在感がますます高まっている。不調の選手は少なく、外国人選手は各チームのキープレーヤーとしてチーム力躍進の原動力になっている。外国人が日本のラグビーをどう変えようとしているのか、次回以降でも紹介したい。

WRITER

マイク・ザッカーマン
フリーライター。

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