
第3回全国市議会議長会 研修フォーラムin釧路にて。壇上にて報告する川崎氏(左)。
川崎順次
1954年、石川県小松市生まれ。
小松工高中退後、ボクサーを夢見て上京。78年1月プロテスト合格、3月プロデビュー。将来のチャンプを期待されたが、目の負傷をきっかけに引退。
プロ通算成績は10戦6勝(4KO)3分1敗。
引退後は帰郷し、トンカツ屋、損保代理店、そして95年に小松市議会議員に初当選。08年6月議会で議長に選任される。現在4期目。
現在、市議4期目を迎え、議長もつとめさせていただいていますが、元々政治家を志していたわけではありません。
小松生まれの小松育ちですが、中学を卒業後、「プロボクサーになろう」と上京したんですよ。西条正三さん(元世界フェザー級チャンピオン)に憧
れて、協栄ジムの門を叩いたんですが、
「親の承諾書を持ってこい」
とすぐには受け付けてくれませんでした。
結局、親に反対され、
「高校だけは出ろ」と、ほとんどボクサーになることを諦めかけていたんです。でも、大場政夫や柴田国明、それにガッツ石松らの世界チャンピオンが続々と誕生するや、また血が騒ぎ出し、19歳の時
にバッグ一つで再上京しました。
新宿・歌舞伎町のテレフォン喫茶で片っ端から電話をかけまくって、ボクシングを始めるにあたっての拠点づくりをしたんです。住み込みのトンカツ屋で職を得、柴田さんが所属するヨネクラジムに
通うことになりました。
当時は「ベルトを巻くまでは帰らない」って、半ば家出同然で、気合も入っていましたね。でも、ボクシングは甘くなかった……。
3カ月ほど練習し、初めてスパーリングを行ったんですが、自分よりも小さくウエイトも下のクラスの選手にボコボコにやられました。
1ラウンドでもう足腰はフラフラで、鼻血は出る。Tシャツは血だらけになっても誰も止めてくれない。相手は容赦なくパンチを打ち続け、こちらはいいように打たれていました。
予定の3ラウンドが終る頃にはもう息は完全に上がっていました。
ただすぐに「クソッタレ!今度やるときは」って、鼻息も荒かったですよ。
入門して2年余りでプロテストに合格し、デビュー戦を飾って以降、負けなしでした。十分に新人王を狙えるほどの実績も積み、ジムの会長からも期待されていました。
私はファイタータイプで、相手のパンチをかいくぐり、恐れることなく懐に入って積極的に打ち合う。左フックと左アッパーを鍛え、左フック一発で倒したこともあります。ガンガン前に行くもんだから、逆に相手のパンチをもらう危険もあります。
しかし、たとえパンチを受けダウンを奪われても、すぐに気を取り直して立ち向かい、相手を追いかけ、少なくとも引き分けには持ち込みました。
ところが、あの左ストレートだけはどうすることもできませんでした。
たった一発のパンチが私のその後の人生を、結果的に変えてしまったのかもしれません。
相手は4戦4勝の勢いのある、しかもヨネクラジムとはライバル関係にあった協栄ジムの選手でした。
1ラウンド、左ストレートが「パチーン!」と、まともに私の左目を直撃したんです。よく目から火が出ると言いますが、まさにそれでした。
その瞬間、私の視界はブルーに変わりました。
そして、まるで鏡の部屋にいるかのように目の前には同じ人間が何十人もいるんです。左目を瞑ってその状況から逃れようとしましたが、レェフリーが異変に気づきストップをかけられました。
が、ドクターは「大丈夫」と、ゴーサインを出してくれ、そのラウンドはゴングに救われることができましたが、依然、同じ人間が何十人と私の前に立ちはだかっていることにはかわりありませんでした。コーナーに戻って
「同じ人間が何十人もいます。相手のパンチをよけきれません」
事情を会長とトレーナーに話すと、
「右目は大丈夫か? それなら左目を瞑って片目でやれ!」
でも片目だけなら相手との距離感がわかりません。
でも、闘うしかない。そんな私の目の事情などお構いなしに、第2ラウンドのゴングが鳴らされました。
(次号へ続く)
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