『夢はロンドンで金メダル』マラソンランナー・佐伯由香里(後編)
(2008年11月26日 12:19)
まだあどけなさが残る社会人2年目。五輪のメダルのためにいち早く実業団の世界に飛び込んだが、「自分の選択に間違いはなかった」。
(プロフィール)佐伯由香里(さはく ゆかり)
1988年、千葉県栗源町(くりもとちょう 現・香取市)出身。07年、県立佐原高校卒業後、アルゼアスリートクラブへ。同クラブを指導する小出義雄監督の佐倉アスリート倶楽部の下でオリンピックランナーを目指す。08年、第81回関東陸上競技選手権1万メートル優勝。08年、北海道マラソン、2時間31分50秒で初マラソン初優勝。
真夜中の腹筋
寝静まった深夜、佐伯は小さな額にうっすらと汗を滲ませ、腹筋運動を繰り返していた。進学か実業団か、迷いを払拭するかのように打ち込む姿には殺気さえ漂っていた。ただ、その視線の先にはしっかりと金メダルを見据えることを忘れていなかった。
偶然にもその姿を目の当たりにしてしまった父親は、もはや娘の情熱の前に白旗を上げざるをえなかった。
「そこまでの覚悟だったとは......」
大学に進学しても、オリンピックを目指すことに何ら障害はないと考えていた父親だが、娘の頭の中は違っていたのだ。"今すぐにでも走り出さなければ"と、娘のただならぬ気持ちの強さを改めて思い知らされたのである。
小出道場入門
高校を卒業した佐伯は、アルゼに入社し、憧れのランナー・高橋尚子を育てた小出義雄が主宰する佐倉アスリート倶楽部で指導を仰ぐことになった。
「監督? 走ることの楽しさを教えてくれます。確かに、練習は苦しいことは苦しいんですが、楽しく思えるようになったんです」
とはいえ、一見、優しそうに見える小出が課す練習メニューに容赦はない。
「練習がきついのは当り前です。『これをやれば強くなる』と思えば、乗り越えられんです」
高橋尚子が社会人一年目、リクルートで小出の指導を受けていた当初、口にしていた言葉を思い出させる。
練習の休みは木曜日の午前と日曜日だけ。月曜日から土曜日までは早朝5時に起き出し、6時には走り出す。夏には米コロラド州ボルダーで2カ月近くに及ぶ合宿が待っている。気温40度にも及ぶ中での高地トレーニングはもはやトップアスリートのそれである。
佐伯は、"小出道場"で社会人の洗礼を如何なく受けているが、音を上げる兆しすらない。
「やっぱり実業団ならではですねえ、海外での長期合宿は気持ちも昂りますね」
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