勝手に日本サッカー強化委員会
第4回 無冠に終わった浦和が見せた意地
浦和、6年ぶりの無冠
この原稿を書いているいま、J1は最終節を残して上も下も大混戦。優勝とACL出場権、そして残留を巡る3つの争いは、すべて最終節に持ち越されました。
この3つの争いに絡んでいるチームは、なんと合わせて12チーム。
いったいどうなることやら――。
そんな熱い終盤戦ですが、優勝候補の本命と目された浦和レッズは、最終節を前に早くも6年ぶりの無冠が決定。
残る最後の可能性、ACL出場権も望み薄に......。
背筋が凍えるような木枯らしが吹いています。
場外乱闘
勝ち星に見放された今シーズン、ピッチの内外で様々な出来事が起こりました。
まずJ1開幕2連敗を喫し、早々とオジェック監督がクビに。
5月半ばのガンバ大阪戦では、緩衝地帯を挟んでサポーター同士が派手に衝突。
10月には永井雄一郎がエンゲルス監督を批判し、遠征メンバーから外されました。
すべての望みが絶たれたJ1、ガンバ大阪との33節に敗れたあとには、都築龍太とエスクデロがピッチ上で口論。
ヨーロッパや南米と比べれば何ということはありませんが、静かなJリーグの中では、この激しさは異様に映るかもしれません。
しかし僕の眼には、こうした数々の現象は浦和のファンや選手、フロントによる、「簡単には弱くならないぞ!」という意思表示にも見えるのです。
強豪チームが勝てなくなると、ピッチの内外が騒がしくなるもの。バルセロナでも、レアル・マドリーでも、インテルでも......。
これは悪くいえば悪あがき、良くいえば自浄作用なんです。
日本では一般的に揉め事は良くないとされますが、強いチームは揉めながら勝っていくもの。
子どものケンカのような内輪揉めがしょっちゅう起こる、ブラジル代表がいい例です。
「勝って和すのがプロ、和して勝つのがアマチュア」といいますが、その意味では浦和はプロだといえるでしょう。
Jリーグではいままで、いくつかのチームが「最強軍団」を形成しましたが、そのほとんどが長続きしませんでした。
それなのに東京ヴェルディやジュビロ磐田は、降格の危機を迎えても、さほど波風が立っていないように見えます。
つまり、こういうことがいえるのです。
負けても波風が立たないから弱くなった、と。
敗北に鈍感になってしまったら、あとは坂道を転げ落ちるのみ。
したがって、浦和にはまだまだ見どころがある。僕はこういうふうに思うわけです。
最悪なシーズン
それにしても最悪なシーズンでした。
なぜ、こうなってしまったのか。
敗因はいくらでも挙げられます。
メディアやファンから甘やかされることに馴れたせいか、選手から勤労の美徳が失われています。
エンゲルス采配は謎だらけ。何がやりたいのか見えないのに、フロントは最後まで指揮を任せ、最悪な結果を招きました。
開幕前は「大型補強、大型補強」と持て囃されましたが、実際、「補強」だったのか。それも怪しいところです。
前線を見ると、ワシントンが去って、代わりにやって来たのが高原直泰とエジミウソン。収支はプラスのように見えますが、実際はマイナス、それも大赤字でした。
このあたりは、フロントの見込み違いでしょう。
話題性のある高原を獲ったことで、ワシントンの穴の大きさを忘れてしまったのかもしれません。
とにかく反省材料が多すぎて「これ」とはいえませんが、あえて挙げれば、チームとしての指針がない、これに尽きるでしょう。
クラブとして何をやりたいのか見えないのです。
勝ちたいのはわかりますが、方法論が見えてこない。
毎年のように行なわれる大型補強も、大型補強をすることが目的化しているように思えるのです。
無冠に終わってしまったシーズンを無駄にしないためにも、オフは徹底的に反省会をするべきでしょう。
なぜ、負けたのか。
勝つために、何をすべきか。
自分たちは、どうやって勝ちたいのか。
強いチームは、負けたときに侃々諤々の議論が巻き起こります。
さて、浦和レッズは......。
例年になく早く訪れたシーズンオフ、反省会の時間はいくらでもあります。
(終)
WRITER
- 熊崎敬
- 1971年生まれ、岐阜県出身。8年間、サッカー専門誌に勤め、その後、フリーライターに。唯一の著書『熊さんのゴール裏で日向ぼっこ』が絶賛在庫中だ。父の影響を受け、幼少期から日本ハムファイターズを応援している。
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